【7月29日】中川龍太郎 トークイベント
7月29日から岩波ホールで公開される『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』の公開によせてトークイベントをさせていただきます。
自分がエミリの詩と出会ったのは高校時代でした。
〈生前は全く世に名前が出ることがなく、死後、1700篇もの詩が発見された孤高の女性詩人〉という外側の情報に惹かれてのことだったでしょうか。
その存在は聞いたことがあっても実際に彼女の言葉を読まれたことはないという方も多いと思います。
実際に触れてみると静かで繊細なイメージを想起させられる外側の情報より、情熱的で烈しい言葉が炸裂していることに驚かされます。
伝記映画は総集編的になってしまっているものも少なくない中、この映画は短くない時間を描いていながらにして、結晶のような美しさをたたえた完成度になっております。
当日は〈詩が生まれる瞬間〉といった観点から『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』についてお話しできたらと思っております。
下記、公開によせて書かせていただきましたコメントです。
「成長しない、ということの気高さと、
失う、ということの豊かさの狭間で、
彼女が言葉を求めたのではなく、言葉が彼女を求めたのではなかったか。
言葉たちは彼女によって紡がれ、放たれることを待っていた。答えを返してくれない神のように」