『Plastic Love Story』DVD販売・レンタルに寄せて
既に告知がなされていますが、本日より『Plastic Love Story』がDVDにて全国で販売・レンタルされます。2014年1月に下北沢トリウッド・ポレポレ東中野でロードショー公開され、追加上映までさせていただきましたが、まだ2年前のことにもかかわらず、ずいぶんと遠い昔話のように思いだされます。
撮影されたのは2013年の1月から3月にかけて。2012年の夏に一部即興で撮影したパート(お蕎麦屋さんとパンチラ、と言えばご覧になった方は思い出してくださるでしょうか?)があり、そのシークエンスに触発されて、物語として建て増し工事を繰り返しながら撮影しました。そこから数えると3年の月日が経っています。
唯一、映画祭で上映されることのなかった不運な(?)作品ですが、僕個人の気持ちとしては最も強くすべてを出しきった、やりきったという気持ちが残っている作品であり、自分自身の原点・原液のような作品です。今でもまれに見直したいと思うことが、時たまあります(そして見返してみてもう作れないかもな、と良くも悪くも自分で圧倒されてしまいます)。
またこの作品は一つの転換点となった作品でもあります。作曲を担当してくれた酒本信太くんは『走れ、絶望に追いつかれない速さで』で、主演の一人の高橋愛実さんは『愛の小さな歴史』『走れ〜』と続けて出演してくださっています。その他にも今でも繋がりの深い多くの仲間との出会いのきっかけになった作品です。この作品を撮ったことで、映画を作り続けていこう、と思ったとさえいえるかもしれません。
思えば、これまでの作品で最も賛否両論の多い作品だったかもしれません。
上映の最終日、記録的な大雪にも関わらず足を運んでくださった方がいました。5回目の来場ということで、ちょっとびっくりしてしまったのですが、本作のリピーター率の高さはその後の作品よりも高かったかもしれません。逆に、公開期間中に東中野駅で僕が歩いていたら、学生さん二人組が「ひでえ作品だったな、こんな酷いのは久しぶりだったな」と後ろに監督が歩いているとは知らず話していたり。階段だったら思わず突き飛ばしていたかもしれません、というのは悪い冗談ですが、むしろ逆に不思議とにやけてしまった記憶があります。なんというのか、多分良い気はしてなかったでしょうが、少なくとも内輪だけの上映ではこういうことはないわけで。ちゃんとお金を払って観てくださった方がいるからこそできる体験であることに、一種の感慨がありました。
関わってくださったスタッフさん、役者さん、協力者の皆々様、街頭でチラシ配りを頑張ってくれた制作スタッフの仲間や役者さん方、観てくださった皆様に感謝をしつつ、これから観てくださる方が一人でも増えることを祈りながら、筆をおろすことにします。
うーん、でもこの作品は、本当に観ていただきたいんだなあ…!(しぶとい)
2016年2月26日
中川龍太郎
追記(しぶとすぎる)
特典として、THE TOKYO『ROCK ROCK ROCK/俺たちのグッドバイ』、DieByForty『Ames Souers』が収録されています。前者は深川圭くんが主演で2014年制作、後者は朝倉あきさんが主演で去年制作されたものです。一本の映画を作るつもりで取り組んだ大切な作品です。是非こちらも併せて楽しんでいただけましたら幸いです。