作品を振り返る③
今日は、Tokyo New Cinema第6回制作作品『音のない朝』の話をしたいと思います。
本作は、2012年6月に公開をスタートさせた「短編特集」上映会で初めて披露しましたが、他の作品の個性が強いせいか、もしかしたら一番忘れられがちな作品かもしれません。でも、この作品、実は良い話なんです。僕は好きです。
この作品は、唯一ファンタジックが前提な作品かもしれません。作品全体の世界観としては、『tapestry』にも似た雰囲気の漂う、詩的な作品です。
想い続ける男と女。わずか8分間で綴られる、長くて強い真っ直ぐな愛。想い続けることで生きられる。想い続けることができるからこそブレずに在れる。そんな作品です。
ともあれ、覚えている方も忘れている方もまずは予告編を観てください。
その上で興味を持ってくださった方はぜひ本編も。
補足ではありますがこの作品、最近のTokyo New Cinemaの志向では珍しくありませんが、TNC史上、女の子が主演となった最初の作品なんです。それは、僕たちにとっては一種の挑戦であったり、「変化」を求めることの現れであったりするのかと思います。やっぱり、主演が男か女かによって作品の届き方や映り方は全く異なりますし、描き方や捉え方も全然違いますからね。『音のない朝』は、それを改めて感じた作品です。作品毎に少しずつでも大きくなることを目標に活動している僕たちの転機となった作品なのかもしれません。
藤村