中川龍太郎監督おすすめ書籍
中川龍太郎監督おすすめ書籍
中川龍太郎監督がブックカバーチャレンジでおすすめ書籍を紹介しております。GW中の読書にぜひ参考にしていただければと思います!以下、中川龍太郎監督の投稿です。
僕にいつも素晴らしい本を紹介してくれる高校・大学の先輩からご指名に預かりましたので、本を七冊挙げてみようと思います。ルールは色々あるそうですが、数日に分けて継続するのは、怠け者の僕には難しい気がするので、一気にまとめてみました(このゲームの主旨から離れていたらごめんなさい…)。
本というものについて書く時、どうしても圧倒的に自分語りになってしまう恐れがあるので、あえて、一行二行の寸評で書いてみました!順番は思いついた順です。
○『明るい部屋 写真についての覚書』ロラン・バルト著/花輪光訳(みすず書房)
人が亡くなるたびに読み返したくなる一冊。心の支え。
○『シネマトグラフ覚書』ロベール・ブレッソン著/松浦寿輝訳(筑摩書房)
映画にまつわる最も研ぎ澄まされた、美しい言葉たち。映画という文脈を取っ払ったとしても、生き方の道標にもなる。
○『世間のひと』鬼海弘雄著(ちくま文庫)
こんなに美しい眼差しと素朴な言葉を僕は知らない。きっと一生この本に恋しつづける。
○『蝦蟇の油 自伝のようなもの』黒澤明著(岩波書店)
黒澤の人生を決定づけたという「峠の風」をいつまでも待っているうちに黒澤が監督デビューした年齢を過ぎ去りそうで怖い。
○『日常と不在を見つめて ドキュメンタリー映画作家 佐藤真の哲学』(里山社)
不在について「描き」つづけてきた佐藤真監督の不在を紡いだ一冊。ご本人の文章と寄稿文との編集の妙が見事。
○『怪奇大作戦大全』 荻野友大、白石雅彦、なかの陽・編(双葉社)
物を作るということの(裏側も含めた)無数のディテールを教えてくれた一冊。
○『天人五衰』三島由紀夫著
三島由紀夫の予言のとおり損得ばかりが行動原理になってしまった今の日本の中にあって、三島が『豊饒の海』で描いたように転生していたらどのような生を送るのだろうか。あるいは『天人五衰』のように、転生自体が夢幻なのだろうか。
七冊でまとめることの困難さを改めて感じました。ルール違反ですが本当はここに入れたい本として、三冊だけ…。
○『身体のリアル』押井守・最上和子共著(エンターブレイン)
これを読むたびに空手を習おうと思うのだけど、結局できていない。
○『美しき少年の理由なき自殺』宮台真司・藤井誠二共著(メディアファクトリー)
90年台という時代へのレクイエム。そこに対する己の憧れと失望。
○『ノルウェイの森』村上春樹著 (講談社)
中学時代はエロ本。大学時代は反発。今読むと人生。十年後とかに読むとどうなんだろう…郷愁とかになっていたら哀しいのだろうか。