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おのれ

人間の記憶には限界がある。経験した全てのことを過去として覚えておくことはできない。あるいは、全てを覚えておかなくても良いと許されているのかもしれない。

人間の記憶はフラッシュメモリではない。だからこそきっと生きられる。朧気で曖昧でぼやけていて、それでいて克明なもの。

楽しい時間。 悲しい言葉。 悔しい関係。

僕は現在を生きている。現在は、積み重なった過去の上にあり、過去は現在の積み重ねだ。僕は現在を忘れたくない。過去を忘れてはいけない。責任を持たなくてはいけない。

自分は絶対じゃない。自分といつも一緒にいるのは自分で、自分と一番付き合いが長いのも自分だけれど、いつだって正しいのが自分とは限らない。無意識に当然に思い入れがあって、いつも自分を尊重し肯定しようとしてしまうけれど、これは決して正解じゃない。自己愛、そう形容されるようなものでしかない。

自分のために、

相手のために、

僕は僕を否定することが求められているのかもしれない。

僕が僕の罪を忘れても、他人が僕の罪を忘れても、事実は紛れもない事実。

その責任は絶対に僕が取らなくてはいけないんだ。

それをうやむやにするではなく、まっとうしてゆく。それだけ。

TNC藤村