『Plastic Love Story』がおわりました。
こんにちは、Tokyo New Cinemaの廣瀬です。
1ヵ月に渡るロードショーが終わりました。
3週間だったロードショーが、ポレポレ東中野で1週間の追加ロードショーができることになり、あれよあれよと1ヶ月に。
作品を作り始めたのが1年以上も前で(僕はTNCルーキーなんでこの頃はいませんでした)、撮影、編集、広報と橋を渡っていって最後にロードショーですから、なんだかあっという間に過ぎていった1ヶ月でした。
この映画のロードショーでは、それはもうたくさんのお客さんと出会うことができたんです。
Tokyo New Cinemaは「自らの手で」映画を作るという信念のもと活動していまして、もちろんそれには「自らの手で」広報するということも含まれます。
今回の広報では、お客さん一人一人に直接映画を届けるため色々な映画館さんの前でチラシを手渡しさせてもらいました。広報スタッフの武笠君がしゃかりきになって動いてくれて、彼を中心としたメンバーが1ヵ月と半月ものあいだ毎日、昼から夜まで映画館さんの前でチラシを配ってくれたんです。武笠君なんかはほぼ1日も休むことなく雨の日も雪の日もチラシ配りをしてくれて、それでいて「オレ別に寒くないよ」なんてケロッと言ってのけているのです。彼の心と身体のタフさに驚きました。
こうしてチラシを手渡ししていると、チラシをもらってくれた時のお客さんの顔や、これから映画を見ようとわくわくしているお客さんの顔、映画を見終えてしんみりしているお客さんの顔なんかをしっかりと目にすることができて勉強になります。
1ヵ月半という長いあいだのチラシ配りを思い返すと、たくさんの感情が自分の中に湧いてきます。
悲しいかったのは、「これは絶対に美しいぞ!みんな度肝を抜くぞ!」と気合を入れてつくったチラシが、渡したとたんにサッと折りたたまれて鞄の中に入れられてしまったとき。チラシの力が足りなかったからに違いないのですが、それでもやはり「ちくしょう、なんでだ!なんでこのチラシの良さがわからないんだ!」なんてひとりでドギマギしていました。精進します。
嬉しかったのは、ツイッターでチラシ配りのことを知ったお客さんが差し入れをくれたこと。あと、映画好きのおばあちゃんやおじいちゃんが「寒い中ごくろうさんだねぇ。がんばれぇ。」なんて声をかけてくださると、嬉しさで胸がどきどきしました。上映中のアンケートに「どこでこの映画をお知りになりましたか?」って項目があったんですけど、そこに「映画館前のチラシ配りにて」って書いてあると、もうニヤニヤが止まりませんでした。
辛かったのはやっぱり雪のときです。雪でチラシを濡らさないため身体で覆うようにチラシを守っていたのですが、やっぱり濡れてしまうものは濡れてしまう。そうなるともうお客さんには渡せないし、自分は濡れていくしで心がひっちゃかめっちゃかになってました。寒さで手がうまく動かないから、たくさんお客さんが通ってもチラシがめくれなくて渡せなかったり。時間を5分だけ誤魔化してラーメンを食べに行ってしまおうかなんて思ったのですが、他の映画館前でがんばってる仲間の姿を思い浮かべてなんとか踏み止まりました。
これからひょんなことからTokyo New Cinemaが大きくなっていったとしても、一生チラシ配りは僕たちの手で続けていきたいと思っているので、もし映画館前でお会いすることがあったらその時は声をかけてやってください。
チラシの他にも、ロードショーに来てくださったお客さんにはホッカイロを手渡ししました。本当はもっとしっかりしたものをお渡しできればよかったのですが、予算の都合もあってちっちゃなホッカイロひとつだけです。せこくてごめんなさい笑。ちなみにただホッカイロを渡すだけでは寂しいということで、制作のフネさんと萌乃さんが1つ1つにお客さんへのメッセージを書き入れていました。全部で960個はあったと思うのですが、腱鞘炎にならなかったのでしょうか・・・ 武笠君といい、フネさん萌乃さんといい、Tokyo New Cinemaの皆の忍耐と根性にびっくりです。
あと、今回のロードショーから新しく試みた「明るい映画館」。
これはもう上手くいくかどうかどきどきの企画でした。暗い所が苦手で映画館に来られない人でも映画を楽しめるように映画館を明るくして上映を行ったんです。社会福祉のためとか立派な理由ではなく、ただ僕の友達から「暗くて映画館にいけない。でも作品みたい。どうにかならない?」という相談があって、まあその人が観られるように明るくして上映するかって思って実行しただけの企画でした。でも上映してみると驚いたことに映画館に行けない人ってかなりいらっしゃった。暗い所が苦手だったり、色盲で暗いとこだと何も見えなくなってしまったり、あと何故か今回は、赤ちゃんがいて映画館に来れない人が赤ちゃん連れでいらっしゃいました。これにはちょっとヒヤヒヤしたけど笑。
せっかく始めた企画だし、映画館に来られない人がたくさんいらっしゃるってのも分かったし、この企画もこれから先ずっと続けていけたらいいなって思っています。もし「~な理由で映画館に行けない」って方がいらっしゃったら教えて下さいませ。「明るい映画館」だけじゃなくって、「赤ちゃん映画館」とか、「ドア開けっ放し映画館」とか、いろいろできたら楽しいかなって思います。
書きたいことを書いているうちに上手くまとまらなくなってきました。
ええと、ちなみに今回のロードショーにいらして下さったお客さんは全部で961名でした。前回のロードショーが2作品合わせてで1000名でしたから、Tokyo New Cinemaとしては少しは成長できたのかなという感じです。
こうして数字にしてしまうと全部が同じになってしまうけど、でもチラシ配りやホッカイロの手渡しなんかをしているとお客さんひとりひとりの顔が生々しく目の前に浮かんできます。
驚いている人、泣いている人、つまんなそうにしている人、怒ってる人。
何十、何百のお客さんの喜怒哀楽がじぶんの中にも流れ込んできて、身体中の細胞がみずみずしくなっていくような気がします。
勿論、動員数というのは僕たちがご飯を食べて次の映画を作るためにも必要なことですから、決してないがしろにしてはいけませんが、それに目を奪われるあまりに、映画館を出ていくお客さんの顔をいつの間にか見失ってしまうようなことには絶対になってはならないと思います。
そんな時はどうか厳しい一言をビシッとかけてやって下さいませ。
僕からは最後になりますが、『Plastic Love Story』をご覧になってくれた皆さん、チラシをもらってくれた皆さん、ツイッターで励ましの声をかけてくれた皆さん、ありがとうございました。
全員にお返事することはできなかったのですが、皆様の反応のひとつひとつが自分のなかで力になっているのを感じます。
そう遠くない未来に再び映画を引っさげて現れると思いますので、もしどこかでお会いしたらどうかチラッとだけでも気にかけてくれたら嬉しいです。
それでは失礼します。
本当にありがとうございました。
(最後にチラシです。どうですか、だめですかね?悔しい・・・)
廣瀬