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PLS特集【広報編】

こんばんは。

お久しぶりです。制作の武笠恭太です。

こうしてブログを書くのはとても久々な感覚です。時間的に見れば、3ヶ月間書いてなかっただけですけど、数年ぶりくらいの気分でこの画面を見つめています。

本日僕が書く内容は、先日の中村萌乃さんから引き続いてのPLS特集の第3弾【広報】です。

そもそも広報活動、または宣伝活動というと、皆様はどういった活動をイメージされますでしょうか?広告ポスターを作ること?テレビで役者さんにPRしてもらうこと?地方巡業すること?…などなど、一般的に想像される広報活動とはそういうものだと思います。また、広報というと、「映画をつくること」とは別次元のものとも考えられているかと思います。「映画をつくる」というと作品を完成させることまでがそうで、その作品をお客様に届けること自体は配給会社などの業務であるというのが一般的に認知されているところだと思います。確かに現場(脚本、撮影、編集など)と広報とでは、分野も仕事もそれを担当する人間も異なるのは当たり前のことです。各々それ相応の知識と技量も必要になりますから、専門の業者に委託するのは筋としても、また効率の面としても正しくはあります。しかし、それは人材規模が大きく、資金的に潤沢な商業映画だからこそできる方法論であり、少なくとも僕たちTokyo New Cinemaは「企画から上映までの映画製作のすべてのプロセスを担う」と名乗っている以上、そうした方法はとりません。「とれない」のではなく、「とらない」のです。ここ重要です。確かに、広報や宣伝を外部にお願いするという方法は、それだけお金が絡むことですから、現状の団体的な規模では難しいという現実はあります。そういう意味では「とれない」と言えます。しかし、だからといって、「仕方がないから自分たちで宣伝するしかない」という消極的なスタンスを広報に置いているわけではないのです。じゃあ、積極的な意味での広報って何かと言うと、「自ら広報する」というこの一言に集約されるのだと考えています。むしろ自分たちで広報することにこそ意味があると思っているのです。「自ら企画する」、「自らお金集めをする」…など、様々な映画製作のプロセスはありますが、広報活動もまた、企画、脚本、撮影などと同じ地平で、「映画をつくること」に参与する重要なファクターだと僕たちは捉えています。

話がすこし抽象的になりましたね。では、具体的にどういった活動をこの3ヶ月間以上もの期間やってきたかを以下で記します。その中から、「自ら広報する」ということの意味を皆様なりに汲み取っていただけると嬉しいです。

もちろん誤解を招かないように言いますが、今回『Plastic Love Story』の上映でお世話になったトリウッド、ポレポレ東中野のスタッフさまのご協力・ご尽力あっての上映だったことは決して忘れてはならないことです。

①まずは【試写会編】!

僕たちの広報活動は試写会から実際的にスタートしました。

試写会というと、これまた一般的なイメージですが、大きな劇場を借りて、一般のお客様をハガキなどで募り、上映後に主演キャストや監督の舞台挨拶があって、さらにその様子がテレビの報道番組などでピックアップされるという感じではないしょうか?ここまで豪勢ではないですが、実は僕たちも昨年の12月ころに『PLS』の試写会を開きました。これは評論家や著名人、雑誌・新聞記者、芸能事務所などのプレス向けに開いたもので、一般のお客様には告知しておりませんでした。招待状を送った数は、郵送やメールを含めて300通ほどです。この頃はほとんど毎日、手書きでの招待状書き、文化人が載っている名鑑やサイトを隈なく探し回り、知り合いの伝手も総動員して、様々なジャンルの方々に招待状を送っていました。おかげで僕の手は、タコやマメでカチカチになっていましたね。

そんなこんなで迎えた試写会当日、さすがに年末のお忙しい時期とあってか思っていたほどの人数は集まりませんでしたが、ご来場いただいた方々は、初めてTokyo New Cinemaの作品を目にする方が多かったです。評論家、作家、映画プロデューサー、俳優、芸能事務所などの方にご覧いただきまして、様々なご意見・ご感想をいただけました。なかでも僕たちの作品に強い興味を示していただいた、評論家の古谷経衡さん、アニメ・特撮研究家の氷川竜介さんにはチラシに掲載するためのコメントを頂戴することができて、大変ありがたかったです。この場をお借りして御礼申し上げます。

色々と反省点もある試写会でしたが、これに端を発して、僕たちの広報活動はより実働的な動きへとシフトしていきます。

②さて次は【チラシ制作編】です!

映画の宣伝の一番の武器になるのは、なんといってもチラシです。テレビCMも打てない僕たちにとって、作品を一番に知ってもらうには、一目見ただけで見に行きたくなるような魅力的なチラシが生命線です。ですので、チラシのデザイン、文章などほんと細かなニュアンスには細心の注意を払いました。テーマは、デザインに関して言えば、一目見ただけで作品のイメージをぴしゃりと表現できていること。どの画像を使うか、どこにそれを配置するのが美しく見えるかなどを考えながら作っていました。これは撮影部の今野くん、広報部の藤村くん、そして廣瀬くんが担当してくれました。一方、あらすじやイントロダクションなどの文章に関して言えば、PLSをご覧になった方ならお分かりかと思いますが、あの重厚なストーリーを簡潔に、誰でもわかるものにするということがテーマでした。これを担当したのは僕なので、すこしその辺を詳らかにしますと、まずどうしてもあの内容を簡潔にまとめることは途轍もなく大変な作業でした。はじめ下書き程度に書いてみると、800字くらいの文量になってしまっていて、そこからどう言葉をそぎ落とすか、しかし、そぎ落とすことによって、作品のニュアンスを伝えきれなくなってしまうのではないか、そうすると新たに別の言葉を見つけなければならない…などと、あれやこれやと悪戦苦闘し、頭を悩ましました。監督に「これはどうか?」と提示しては突き返され、何度も校正を重ねて、今の形になりました。今更ですが、あの文章どうでしたか?笑 そういう悪戦苦闘はデザイン班にも勿論あって、あの二つのバージョンのチラシはこのような過程をたどって制作されたのでした。

いよいよ武器も確保でき、戦闘態勢を整え、これから戦場に駆り出そうという気分がこのころTokyo New Cinema内では燃えたぎっていました。

③次はいよいよ今回広報の柱となった【チラシ配り編】です!

チラシ配りというと、何か古典的でアナログな宣伝方法と思われると思います。ですが、この部分にこそ上で掲げた「自ら広報する」ということのエッセンスが凝縮されています。

毎日渋谷の映画館を中心に、各映画館の前でチラシ配りをさせていただきました。ここでの方針はというと、映画の宣伝はもちろんですが、チラシをもらってくれた方々とコミュニーションすることも目的でありました。老若男女問わず、幅広い方々とお話することは、様々な情報収集の機会になって、いまどのような映画をお客様は求めているかなどを聞けて今後の参考になります。実際、チラシ配りを通して出会った方々の顔や表情は今でも記憶に残っています。一般的に映画は観客に向けて作るものですが、その「観客」というのが作り手としてはあまりに抽象的な存在なのです。チラシ配りはもとより、トリウッドやポレポレ東中野にも上映後、スタッフはなるべく足を運んで、お客様とお話できるようにしました。そうして出会ったお客様の表情や声が、抽象的な「観客」を具体化してくれるのです。そのことで、自分たちの映画が確実に届いているという実感が生まれます。また、会話を通じて、僕たちの名前を覚えてもらうこともできるので、一枚のチラシが、たんなる情報以上の価値を生み出すことができるのだと確信しました。

それからチラシ配りにはTokyo New Cinemaのメンバー以外で、協力してくれた人たちがいます。TNCの活動をずっと応援してくれたT君、TNC自体に興味を示してお手伝いしたいといってくれたAさん、PLSを見て「この映画はもっと多くの人に見られるべきだ」とチラシ配りを買って出てくれたKくん、一日だけだけど協力してくれた僕の友人のYくん。TNCにもPLSにも無関係な人たちが協力してくれたのは本当に助かりましたし、何よりも嬉しかったです。また実際に映画館前でチラシ配りをすることを許可してくれた映画館のスタッフ様にもこの場をお借りして御礼申し上げます。

ユーロスペース、シネマヴェーラ、オーディトリウム渋谷、シアターイメージフォーラム、アップリンク、目黒シネマ、早稲田松竹の映画館の皆様、ありがとうございます。

僕たちの今回の広報はというと、大枠上のようになります。3ヶ月間、長いようであっという間に終わってしまいました。まだまだやりきれなかった事や改善点などもありますので、次の広報活動を楽しみにしていてほしいと思います。が、まだ『Plastic Love Story』は終わったわけではありません。もっと多くの方々に届けたい作品ですので、まだまだ粘ります!

「自ら広報する」というこのスタンスは今後も継続してまいります。これがTokyo New Cinemaのよって立つアイデンティティな部分だと思っていますので!今日のこのPLS特集から少しでもこの団体のイメージを掴んでもらえたなら嬉しく思います。

ここまで長々とお付き合いしてくれてありがとうございました。

今後ともよろしくお願い申し上げます!

武笠恭太