『わたしは光をにぎっている』モスクワ国際映画祭 松本穂香さん&中川龍太郎監督舞台挨拶レポート

現地時間4/24(水)※日本時間4/25(木)に、映画『わたしは光をにぎっている』が、第41回モスクワ国際映画祭の特別招待作品として上映されました。

上映時の舞台挨拶・QAセッションに、主演の松本穂香さん、中川龍太郎監督、木ノ内輝プロデューサーが登壇しました。

 モスクワ国際映画祭 舞台挨拶レポート

モスクワ国際映画祭プログラマーのEvgenia氏から、「前作『四月の永い夢』に続き本作を上映し、監督と主演の松本さんを招聘できたこと喜びを感じ、また今後の新作への期待したい」という温かい言葉で、上映前の舞台挨拶がスタートしました。

中川監督は「ドーブライ ビーチェル」(こんばんは)とロシア語で挨拶し、会場は一気に和やかな雰囲気に包まれました。今回の上映に関して「2年前にこのモスクワ国際映画祭で『四月の永い夢』を上映していただいた際に、たくさんの方から反響があったことが、この2年間自分にとって映画を作るにあたりとても大きな励みとなりました」と語り、モスクワ映画祭での経験が映画製作の大きな支えになったことを明かしました。

続けて、「ロシアには、尊敬している映画監督や小説家が沢山いて、そういった国で上映していただけることはとても光栄なことだと思っています。この映画は、日本の古い町が取り壊されていく様を描いているのですが、ロシアにも似たような問題があるのではと思います。この映画を通して、古い街や空間を守っていくという事はどういうことかということを皆さんで話し合ってみたいと思いました」と国境を越えたテーマ性をアピールしました。

そして、本作で主演を務めた松本穂香さんは、今回初めての海外映画祭への渡航ということで、緊張した面持ちで、観客へ向けて挨拶。

「海外の映画祭に参加するのは初めてなので、とてもドキドキしています。私は主人公の澪という女性を演じました。素敵な映画になっていると思いますので、最後まで楽しんでいってください」という言葉を受けて、観客からは温かい拍手が送られました。

Q&Aセッション

Q&Aは、観客との距離感も近く、多くの質問があり、1時間にも及ぶトークが繰り広げられました。

1問目の質問では、「監督にとって、映画とは? 今までどんな影響を受けたか?」という難易度の高い問いが飛びました。

これには監督も「重たい質問を頂いてしまいました」と苦笑いしながらも、「少年時代、アンドレイ・タルコフスキーやボリス・バルネットの映画など、多くのロシアはじめ世界の映画を観てきて、スクリーンは世界の窓だと思っていました。映画館という狭い空間にいながら、すでに失われたもの、まだ見ぬ世界を見せてくれたんだと思います。閉塞感を感じていた僕の人生を開いてくれました」と映画の原体験を語りました。

また、松本さんの演技に関して、監督からは「今回は松本さんのそのままの魅力を引き出したかったので、彼女にお任せしていました」、観客からは「静かな人生を送る主人公の澪という女性の芯の強さを感じ、素晴らしい演技だと思いました」という感想も。それに対し松本さんは、「とても自由に演じさせて頂きました」と笑顔で応じていました。

前作『四月の永い夢』を同映画祭で鑑賞している観客も数多くいらっしゃり、新作を期待する声も多く、上映後も監督や松本は観客からサインを求められ、会場は終始アットホームな雰囲気に包まれていました。

モスクワ・赤の広場にて。

海外映画祭初渡航となった松本穂香さん。

ロシアの観客の方にも刺さったようで、Q&Aは1時間にもおよぶ大盛況でした。


『わたしは光をにぎっている』

宮川澪は、20歳。

両親を早くに亡くした彼女は、長野・野尻湖のほとりのこじんまりした民宿を祖母と2人で切り盛りし、淡々とした日常を送っていた。しかし祖母の入院を機に民宿を閉めざるを得なくなり、父の親友であった京介を頼って上京し、彼がひとりで経営する都内の銭湯の元で居候をすることになる。職を探すが、都会の空気にうまくなじめない澪は、徐々に銭湯の仕事を手伝うように。映画監督の夢を持つ銀次や会社員の美琴など、銭湯にたむろする常連客達と次第に親密になる澪。銀次の映画を観たり、美琴に飲み会に誘われたりと、東京での日々が少しずつ楽しくなっていく。しかし、区画整理のため銭湯が近いうちに閉店する運命にあることを知った澪は、ある決断をするのだが・・・。

監督:中川龍太郎
脚本:中川龍太郎 末木はるみ  佐近圭太郎 脚本協力: 石井将 角屋拓海
出演:松本穂香 渡辺大知 徳永えり 吉村界人/光石研/樫山文枝
配給:ファントム・フィルム
©2019 WIT STUDIO / Tokyo New Cinema
公式サイト:http://phantom-film.com/watashi_hikari/

2019年 全国ロードショー