『わたしは光をにぎっている』公開に向けて(監督・中川龍太郎)
『わたしは光をにぎっている』11月15日の公開に向けて、予告編が公開されました!
そこで、中川龍太郎監督からのメッセージをお届けします。
新作『わたしは光をにぎっている』の予告編が公開になりました!
今回の物語は東京の片隅、日一日、刻々と失われゆく商店街や路地、街角が舞台となっております。
もともとこの企画の着想は大学時代でした。
大好きだったお蕎麦屋さん、銭湯、八百屋さん、お豆腐屋さん、次から次へと古いものは消えてゆき、新しく画一的な建物やチェーン店に取って変わられてゆく。
東京は変化の街であり、戦後数多作られてきたアーケード街や銭湯だって当時からしたら画一的なものだったのかもしれない。その背景に仕方のないものがあることも理解した上で、それでも代々紡がれてきた場所が消えてゆくことによって、世代ごとの共通の景色が失われていっていることは、大きな問題であると自分は思っています。
人の顔の見える商店が消えてゆくことで、曖昧な領域を持たない箱のような社会が加速していっている気がします。外と内しかない、中間のない社会。
ロケハンのたびに消えていく愛しい景色。そのせめてもの、自分なりのささやかな抵抗と追悼の想いを込めて、この物語を作りました。
主演は松本穂香さん。
渡辺大知さん、徳永えりさん、吉村界人さん、樫山文枝さん、それから学生時代、『愛の小さな歴史』に出演してくださって以来の光石研さん。その他、数えきれない素晴らしい俳優さんたちが出演してくれています。主題歌はたまたま行ったライブでその歌声と存在感に胸打たれてファンになってしまったカネコアヤノさんが書き下ろしてくれました。
公開は11月15日、まだ少し先ですが、まずは予告だけでも、ご覧になっていただけましたら幸いです。
中川龍太郎