ヴィヴァルディ『四季』
金曜日担当の今野です。一日遅れての投稿になり、申し訳ございません。
本日はクラッシックの『四季』という曲について。
『四季』は全12楽章から成り、春夏秋冬の4つの季節に別れています。
中でもこの『春』はどこかで聴いたことがあるのではないでしょうか。
ぼくは『四季』がとっても好きなのですが、この曲はどの季節に聴くかによっても、その聴こえ方、感じ方にも変化が生じるとっても豊かな曲です。
例えば、もう春は終わってしまいましたが、曲の『春』には、小鳥のさえずる情景などがヴァイオリンの音で表現されていたり、冬から目覚めた草木が色を取り戻し、そよ風が木々を揺らすような、そんな麗らかなメロディがあります。これを聴くだけでも春を想い起こしてしまいますが、実際に春に聴くと、目の前の風景と音楽が合わさって、曲に肉がつきます。特に日本は四季がはっきりと別れているからということもあるのかもしれません。もちろんイタリアの曲ですからそこに日本の情景を当てはめて作曲されたものではないですが、それでも4つの季節に対しては共通のイメージがあります。
ここで全12楽章の情景を文章として表した文章があるので紹介します。(ウィキぺディアより)
音楽を流せる環境にいる方は、再生しながら読んで頂くと良いかもしれません。
※各楽章の実際の音楽はウィキぺディアのページでピンポイントで聴くこともできます。
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〜協奏曲第1番ホ長調『春』〜
◆第1楽章:春がやってきた、小鳥は喜び囀りながら祝っている。小川のせせらぎ、風が優しく撫でる。春を告げる雷が轟音を立て黒い雲が空を覆う、そして嵐は去り小鳥は素晴らしい声で歌う。鳥の声をソロヴァイオリンが高らかにそして華やかにうたいあげる。
◆第2楽章:牧草地に花は咲き乱れ、空に伸びた枝の茂った葉はガサガサ音を立てる。羊飼は眠り、忠実な猟犬は(私の)そばにいる。弦楽器の静かな旋律にソロヴァイオリンがのどかなメロディを奏でる。ヴィオラの低い音が吠える犬を表現している。
◆第3楽章(田園曲のダンス):陽気なバグパイプにニンフ(精霊)と羊飼いが明るい春の空の下で踊る。
〜協奏曲第2番ト短調『夏』〜
◆第4楽章:かんかんと照りつける太陽の絶え間ない暑さで人と羊の群れはぐったりしている。松の木も燃えそうに熱い。カッコウの声が聞こえる。そしてキジバトの囀りが聞える。北風がそよ風を突然脇へ追い払う。やって来る嵐が怖くて慄く。ヴァイオリンの一瞬一瞬の“間”に続いての絶え間ない音の連続が荒れる嵐を表現している。
◆第5楽章:稲妻と雷鳴の轟きで眠るどころではない、ブヨやハエが周りにすさまじくブンブン音を立てる。それは甲高い音でソロヴァイオリンによって奏でられる。
◆第6楽章(夏の嵐):嗚呼、彼の心配は現実となってしまった。上空の雷鳴と雹(ひょう)が誇らしげに伸びている穀物を打ち倒した。
〜協奏曲第3番へ長調『秋』〜
◆第7楽章(小作農のダンスと歌):小作農たちが収穫が無事に終わり大騒ぎ。ブドウ酒が惜しげなく注がれる。彼らは、ほっとして眠りに落ちる。
◆第8楽章(よっぱらいの居眠り):大騒ぎは次第に弱まり、酒はすべての者を無意識のうちに眠りに誘う。チェンバロのアルペジオに支えられてソロヴァイオリンは眠くなるような長音を弾く。
◆第9楽章(狩り):夜明けに、狩猟者が狩猟の準備の為にホルンを携え、犬を従える。獲物は彼らが追跡している間逃げる。やがて傷つき獲物は犬と奮闘して息絶える。
〜協奏曲第4番へ単調『冬』〜
◆第10楽章:寒さの中で身震いしている。足の冷たさを振り解くために歩き回る。辛さから歯が鳴る。ソロヴァイオリンの重音で歯のガチガチを表現している。
◆第11楽章:外は大雨が降っている、中で暖炉で満足そうに休息。ゆっくりしたテンポで平和な時間が流れる。
◆第12楽章:私たちはゆっくりと用心深く、つまづいて倒れないようにして氷の上を歩く。ソロヴァイオリンは弓を長く使ってこの旋律を弾き、ゆっくりと静かな旋律に続く。しかし突然、滑って氷に叩きつけられた。氷が裂けて割れ、頑丈なドアから出ると外はシロッコ(季節風)と北風がビュービューと吹いていく。そんな冬であるが、もうすぐ楽しい春がやってくる。
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僕は『冬』の第10楽章が一番好きです。理由ははっきりと言葉にできませんが、とにかく圧倒されたのを覚えています。
『四季』を聴いていると、それぞれの季節の中にも、優雅な時間と、重く厳しい時間が流れているような気がします。
世界は豊かさに溢れているかと思えば、ふとその瞬間さびしげな時間が時々顔を見せる。豊かさと寂しさが地続きに、同じ気持ちの中で押し寄せてくる感覚があります。
始まるものと、一方その影で終わっていくものとが同じ場所に存在しているというようにもとれます。
この曲を全て聴くのには少し時間が掛かりますが、映画を1本観るよりかは短いので、時間のある方は作業をしながらでも是非聴いてみて下さい。
季節の移ろいに音楽を通して注意を向けてみると、生活のなかに、また新たな豊かさが訪れるかもしれません。
今野康裕