PLS特集【創舞編】
こんばんは。
本日は制作とそして創舞担当でもある中村がダンスについて話します。
Tokyo New Cinemaの作品には踊るシーンがよく出てきますが、私が初めて創舞させて頂いたのは前作である『雨粒の小さな歴史』でした。
そして嬉しいことに今回の『Plastic Love Story』でも振り付けをしました。
このPLSでは主人公である恵理、理奈、奏恵の3人がそれぞれ踊ります。
彼女たちにとって踊ることは解放です。
そして私たちが踊ることも解放なんです。自分と向き合うこと。自分を知ること。
私が振り付けをするときには、とことん自分とぶつかります。自分が踊る作品でなくても、ダンサーと自分を重ねて考えます。
監督からそれぞれのイメージを伝えられるので、まずはそのイメージだけで全体をなんとなく作ります。そのあとに、彼女たちの色をのせて、掘り下げていきます。
今回は踊りを習っていない役者の方がいたので、彼女の踊りやすい振り付けにすることも大切でした。
もう一つ大切なのは、彼女たちの美しい部分をより一層引き立てる振り付けにすること。
振り付けがある程度できたら、監督に見せて、変更して、見せて、変更してを繰り返して、完成となります。
撮影では、実はダンスシーンが一番時間かかるんです笑
午前中から始めて日が落ちるまでやります。
役者さんは踊りっぱなしです。
では、1作品ずつ、あまり細かく書くとネタバレになるのでざっくりと。
ただ、振り付けにおいてはとっても個人的なイメージで語るので、あまり深く考えずに感じたままに受け取って頂けると嬉しいです。
ダンスシーンを観る際も同様です。
まず、恵理。
彼女の作品が一番時間がかかりました。いくら時間をかけてもぐさっとくるものが出てこなくて、辛かったですね。監督から与えられたイメージは、「内蔵から花が咲くように」。これを聞いてすぐに浮かんだ振り付けは最後まで変わりませんでした。大抵、最初の振り付けとは大きく変わるのに。恵理は感情を踊りに込めました。コンクリートの中に眠る花のイメージ。静かに強く小さな真っ白の花が一輪咲き始めます。
理奈。
監督からの指示は「とにかく激しく」。踊りまくる振り付けが苦手なので、いくら作っても激しさなんて全くなく、何度も何度も変更した作品です。完成したものも、正直激しいまで行ってないですね笑
彼女は飛べない鳥。美しい羽を夢の中で羽ばたかせ、舞います。たとえ、ばきばきに折れてしまっても夢の中では次から次へと新しい羽が生えてきます。
奏恵。
創舞時間が一番短かった作品です。そして、役者さんの中で最も辛い撮影だったかと。真冬の海辺で7、8時間の撮影でした。
監督からのイメージは「笑顔で楽しそうに、走り抜けるように」。
奏恵は海辺で無邪気に遊ぶ子供。5歳。海の中でお魚と泳ぎ、貝殻を拾い、そして濁りのない美しい海になる。
本当は裸足で踊りたかったのですが、砂利と大きな石だらけで不可能でした。痛すぎた。靴を履いても足を取られてしまい、思うように動けず、役者さんは本当に大変だったと思います。
この3つの作品ともクラシックバレエのように物語があって分かりやすいものではないかと思います。
しかし、だからこそ自由な感想を持って頂きたい。
彼女たちの物語を観たからこそ生まれる感情でダンスを観て、また新しい自分だけの物語を生んで頂けたら幸いです。
中村萌乃